情動・感情を用いたロボット・エージェントまとめ

いつから情動モデルが登場したのかはわからないが,知ってるものをまとめてみる.

[1] 尾形哲也,菅野重樹: “情動モデルを有する自律ロボット WAMOEBA−2と人間との情緒交流”,日本機械学会論文集,Vol.65,No.633,pp.166-172,1999.

情動モデルがロボットに搭載されたのは,自分が知っている中ではこれが初めてである.WAMOEBA-2は内分泌系モデルを持ち,自己保存評価関数に基づいたパラメータ制御により,ハードウェアを制御する.自己保存評価関数とは,各センサ情報をロボットの耐久性の評価値に変換するファジィメンバシップ関数の一種である.


[2] 廣澤 一輝, 長名 優子, ニューラルネットワークを用いた MaC モデルに基づく感情生成システム , 知能と情報, Vol. 22, No. 1. pp.25-38, 2010 .

ニューラルネットを用いたのは,感情の履歴を考慮するため,
MaCモデルとは,Mind and Consciousnessモデルのこと.

[3] 久保田 直行, 脇阪 史帆, 小嶋 宏幸, 情動モデルを用いたパートナーロボットに関する研究:仮想現実空間の構築と人間との相互作用 , 知能と情報, Vol. 20, No. 4. pp. 449-460, 2008 .

感情,情動,気分の3つのパラメータを用いて,ロボットの価値判断に情動モデルを利用した例である.さらに,強化学習ファジィ推論を用いて,障害物回避などを行った.


[4] 河野 泉,池邉 亮志,和氣 早苗,上窪 真一,岩沢 透,西村 健士,感情表現を用いた対話システムEDSの開発(1) : システム概要と感情モデル,情報処理学会研究報告. HI, ヒューマンインタフェース研究会報告2000(61), 43-48,

エージェントは感情豊かに音声対話を行い,音楽検索を行う.エージェントの感情は,提案内容に対する自信度と利用者の感情の組み合わせで定義される.利用者の感情は,肯定・否定に興奮の程度を加えて定義されている.


[5] 小倉 徹,延澤 志保,太原 育夫,相手の感情を考慮した対話システム,情報科学技術フォーラム一般講演論文集 6(2), 301-302, 2007.

カーナビでの利用を想定し,ユーザが特に聞きたい楽曲がない場合に,会話によって楽曲を決定していく.
ユーザの発話から提案に対する指示を理解し,気分値の計算を行い感情推定を行う


[6] 飯星貴文, 安藤照朗, 加納政芳, 中村 剛士: アージ・システムに基づく自己充足モデルのための行動学習, 第26回ファジィシステムシンポジウム, pp. 240-245, 2010.

エージェントが観測可能な情報からエージェントの行動を決定するモデルとして,多項ロジットモデルを用いてエージェントの行動学習を行う.さらに,アージシステムに基づく自己充足システムに導入することで,ユーザからの入力に対し,適応的に行動出力を行うことができる.
アージ理論とは,従来の感情概念を拡張した感情理論の一つであり,ここでは感情を高度な野生合理性を持つものとし,遺伝的に与えられた基本的な枠組みによって規定された環境適応行動選択システムとしている.

[7] 前田陽一郎, 田辺奈々, “生物型ロボットによるインタラクティブ情動コミュニケーションの基礎研究,” 計測自動制御学会論文集, Vol.42, No.4, pp.359-366 (2006.4),

特定の人物の主観によらない感情行動評価の手法を提案している.
ラバン理論でのロボットの身体動作の評価を行い,そこから抽出された身体的特徴量を用いてファジィ推論により基本的心理尺度を求め,ラッセルの円環モデルに基づき情動評価を行っている.



[8] 三輪 洋靖,伊藤 加寿子,高信 英明,高西 淳夫,人間との情緒的コミュニケーションを目的とした人間形頭部ロボットの開発(第3報,情動方程式・ロボットパーソナリティの導入),日本機械学會論文集. C編 70(699), 3244-3251, 2004.

ヒューマノイドロボットの心理空間として,Ekmanの6基本表情を表出可能とするために,Russelらが提案した快・不快,覚醒ー不覚醒の2次元の感情次元モデルに,Smithらが提案した確信ー不確信の1次元を組み合わせ3次元の心理空間を定義している.


[感情理論について]
研究で登場する理論では,Ekman,Russel,Plutchikが多い.
ラバン理論はそこそこあるが,アージ理論は少ない.


[情動モデルの構築について]
ファジィ推論
ニューラルネットワーク
微分方程式(ファンデルポール式)